2014年8月9日土曜日

インチャリラジオ合唱団

お店にとって節目となる日が近くなり、ふと考えることはこの先のモチベーションの維持について。
何かを変化を加えてリフレッシュを。
あれもしたい、これもしたい、それでいてなんだかやり遂げてしまったような錯覚ももやもや湧いてきたりもしてきます。
濃霧のような迷いを振り払うべくまずはオープンの時より気になっていた天井の改装、そして自分が一番居心地がいいと感じる大きな本棚を設置。
こういったずっとできたらいいなーという思い続けてきたこと、そういったことから形にしていきたいなと思い立ちました。

己の素人大工仕事に全てを託すか、あるいは業者さんに依頼するか。
ひらめいたのはその中間。以前より仲良くしてもらっていている大工さん、通称インチャリさんに声をかけさせてもらう事にしました。

廃材系棟梁、あるいは湘南リノベーション界のカリスマか。
鎌倉、逗子、辻堂。湘南辺りの自分の好きなお店の内装を辿ると必ず現れる都市伝説の様な男。
下請け時代にはポイの内装も手掛けてくれたと知ったのは2,3年前だったでしょうか。本当に嬉しかった事覚えています。
そんなインチャリさん。打ち合わせ半分、未だ全貌がつかめぬ兄貴の全貌を知りたいという思い半分ではるばる訪れたのは海の町、茅ヶ崎。


待ち合わせの時間に住所を頼りに工房に向かうのですが、いつも頼りにしている、今や地球を網羅していると言っても過言ではないグーグルマップがわかりませんと音を上げるではないですか。
打ち間違えか、勘違いか、あるいはこの時すでに我々は四次元に突入していたのかもせん。

途方に暮れて本人に迎えに来てもらったのですが、なるほど。道と呼ぶにはあまりに細く、険しい道。獣が作り出したようなプリミティブな竹藪のトンネルを抜けると現れた謎の長屋系施設。怪しすぎて胸が高鳴ります。

昔は養鶏所だった建物に並ぶ個性的なアトリエ群。
元々ハーレーの工場だった一角をさらに改造した工房はいまや完全に秘密基地の様相。


こちらは足を悪くした大型犬用の車椅子。ピースです。


まぁ座って座ってと案内してもらったイスもすこぶるキュート。
うどん屋さん解体の時にもらったイスにタイヤをつけたのだとか。どこまでも転がって行きたくなります。

作業テーブルの端には気になる書籍も。
一見本能のおもむくまま、天性の感性で作品を作り上げていく人かと思っていたのですが、知と才に加え一人、日々淡々と技を磨き職人として高みを目指して行くその鍛錬の結晶のようなものがこの空間にぎゅっと詰まっているのです。
あたりまえですが雑多なカオスの中で光るセンスとインテリジェンスとスキルは一朝一夕のものではないのでした。
 
ところでラジオはお好きですか?
リスナーとしてそこまで放送に入れ込んだことは無いのですが~ヘルツという謎の怪電波乗って、DJ任せの選曲による出会いと再会、そしてあのなんともいえない音質で聴く懐かしい曲。
音楽を聴くツールは色々便利になってきましたがレコードと同じようにクラシックの味わいは何とも言えない魅力を携えているように感じます。

インチャリさんの活動で特にユニークなのが、この工房のあらゆる場所に設置された古いラジオに向けてゆるいレゲエやダブを電波に乗せて発信させ一斉に鳴らす超サラウンドPAシステム。
その名もインチャリラジオ合唱団。
噂には聞いていたのですがこの度初体験。
脱肉体。すごいっす。

 
昔は日本中をチャリで旅してまわったり、時には富士山の山頂まで自転車を担いで登り直滑降で降りるなど強烈なエピソードをさらっと話してくれるかっこよさ。
お茶目と不思議と鋭さが混じりあう本当に素敵な人でした。
今は少し忙しいようですが近い将来一緒に改装作業できる日が楽しみになってきました!

2014年8月7日木曜日

how to walk

 
 
先日お土産で頂いた地球の歩き方travelnote。
シークレットポエムか、あるいはダイアリー。
この秘めた想いどこから綴ったるか。。
独り占め気分で悦に入り悶々としておったのですが、なんとダイアモンド・ビッグ社さんの粋すぎる計らいでお客様にもどどんと配布してくださいと大量に送って頂きました。感極まる! 

地球の歩き方と言えば友人が執筆、編集に携わっているという事で先日ブランニューの世界のダイビング完全ガイド頂きました。ありがたやー。
まだまだ海中旅ビギナーですがパラオ、ミクロネシア、意外と日本から近い所に極楽竜宮があるのですね。旅のレンジが広がると夢も広がります。
それにしても友人。気が付けばいつもどこかのリゾート。取材という名目でビーチtoビーチ。うらやますぎてけしからんです!俺も今年はトロピカリたいです。
 
それにしても地球の歩き方。
よく荷物少なそうですね、と声かけてもらう事あるのですが、いやいや、いやいやいやいや。
最初の長旅に出る前はアジア横断。何カ国も巡る旅という事で、歩き方の中でも通りそうな国の主要都市の地図だけでもと思いコピーしてまとめた旅のしおりを作ったのですがこれが凄い重さになり家から横浜駅に向かう途中でカバンが壊れたのはいい思い出です。
インドではカバンを切られなぜかフランスの地球の歩き方のコピーを盗まれました。しかもその後結局フランスには行かなかったり。不思議な惑星です。
 
旅の最中、アドレナリンと共にめくる地球の歩き方もいいですが、個人的にオススメは特に行く予定もない国をほほぅ、イグアナがいるのかとか、ページの欄外にある読者からの旅先不思議体験投稿に目を細めたり、そういった日常の中の非日常との小さな繋がりとしていつも手元に置いての普段使い。
いつの日か一席一冊の地球の歩きカフェにて世界コーヒーを入れる、そんな夢を抱き今日もページをめくってみようと思います。

2014年8月6日水曜日

北緯45度、南下するデスカー、ヘラジカセラピー

最果てと花の夢に酔いしれた礼文ともお別れの時がやってきました。
早朝埠頭で遭遇した、桃岩ユースホステルのお別れの儀。
生半可な覚悟とテンションでは到底追いつくことができぬと今回は宿泊を辞退した有名ユースの桃岩さん。
古き良き時代のミーティングなどここでしか体験できないユースカルチャー遺産、体験しておくべきだったかなと今になって少々悶々。  

最北の町稚内からさらに北へ。
北緯45度31分22秒。
感無量。願わくば果ての、さらにその先まで。
 
そもそも、数日前までは波照間島の日本最南端を目指していた今回の旅。
鬼のような台風が無ければまた大きく違った旅になっていた事でしょう。
人生は不思議なものです。

世界の終わりは堪能した。南に帰ろうじゃないか。あの温かい大地へ。。
なんて牧歌的な気持ち、優しい気持ち。憂い無き地平線と僕。
 
そうなんです。そんな平和ぼけした獲物を死神は狙っているのです。
牧草の影に隠れ、あるいは羊の群れに混じってほくそえんで手招きをしているのです。
 
まぁ、早い話が事故りました。
かなり派手に。新車なのに。
本当に申し訳ないです。
 
事故処理の諸々を終えて、旅もここで終わるのかとしょんぼり肩を落とす名も知らぬ北の町。
いや、しかし、このミーのカー見た目は120%death。
凹んではがれて、つぶれて、はみ出て。ではありますが動くんですよね。曲がるし止まる。
通りすがりのエンジニアっぽいおじさんに話を聞くとラジエーターが動いている奇跡に感謝しなさいとのこと。
OKOK。レンタカー会社には後日しっかり謝ろう。
今は旅を続けようじゃないか。
 
カーナビが甲高い声で到着を知らせる。
動くスクラップと化した満身創痍の車を褒めてあげたい。
幌延トナカイ観光牧場。大事故の後のトナカイ。ヘラジカセラピー。

山羊もいますね。
気の向くままに草を食す。
眼下に広がるこの牧場で、山羊と共に暮らしたい。
しかし本日の目標は富良野。どうしても泊まりたいゲストハウスがそこにはあるのです。
牧草食って昼寝している時間は今日の僕にはありませんでした。

南へ、南へ。
北上に使った海沿いの道、オロロンラインとはまた違う内陸部の道をひたすら進みます。
山を越え、森を越え、菜の花畑を越えて。

しかし旭川に着くころだったでしょうか、予期せぬハプニングが。
夕立と呼びにはあまりに激しすぎる豪雨により、防御壁を失ったヘッドランプが故障。
ライトがつかなくなるアクシデントが発生してしまいました。
これはどうにもならんのです。美瑛に向かう途中の道からUターン。
街灯とハザードの淡い光を頼りに旭川までなんとか戻り、ゲストハウスで就寝。

予期せぬハプニングで流れ着いた旭川ゲストハウスさん。
フロントに鎮座する甲冑が印象深かったです。
boy meets 日本刀。疲れた身体に血がたぎるわ。


 

2014年8月5日火曜日

青梅ニューギニア

 
 
東京で一番気になっていたお店、カフェニューギニーさんを訪ねてがっつり青梅まで行ってまいりました。
その名の通りパプアニューギニア料理のお店なのです。
雰囲気のあるお寺の境内の中の少しトロピカルな一軒家。
入店前に僕の魂は赤道越え。
 
 オーダーが入ってから敷地内に生えているバナナの葉を取ってくる鮮度たるや!
店内も最高にオシャレでプリミティブです。

食事もお茶も美味しく大満足の訪問だったのですが、はて、オーナーさんどこかで見覚えが。
よくよく話を聞くと2001年にメキシコ、ペンションアミーゴでお会いしていました。
日本を出て一週間も経っていなかった時だったと思います。
未だ緊張感色濃く、旅の昂揚感よりも不安の方が大きかった時に仲良くしていただき、パプア仕様の99%裸形で記念撮影を撮らせて頂きました。
何故メキシコにパプアの民族衣装を纏った旅人がいるのか、そういった素朴な疑問も吹き飛ぶインパクト。自分の常識や固定観念なんて小さなものだと感銘を受けた事が記憶が昨日の事の様に思い出されます。
時を超え国境を越え、本当に嬉しい再会と相成りました。
 店内は精霊たちで溢れかえっておりました。うっとり。。


 パプア8、メキシコ2。最後のスパイスに謎のアバンギャルドなオブジェを少々。

 夢にまで見た(悪夢?)マッドマン氏とも初の遭遇。

9月には店長さんがシンシンとよばれるお祭りに参加されるためお休みも多いとの事。いいタイミングで訪れることができました。
 
 
それにしても青梅。立川を過ぎた辺りからは完全に旅の様相。奥多摩なんて文字も飛び出してきました。
駅前に漂う空気は完全に昭和。
にゃにゃまがりなる四次元的な猫の細道も。色々と深いっす。
 細道のいたるところで乱れ咲いていたハンドメイド120%のキャットオブジェ。

駅前から5分ほど歩くとキノコ。商店街の植え込みはなぜかミニトマト。

僕はメキシコの後グアテマラに南下、その後中米を経て南米を旅したのですが、同じく南下の予定だった店長さん。当初のプランを大きく覆し数人で買ったバンでまさかの北上、アラスカに旅をされたとの事でした。
本当に人生は旅の様。何が起きるかわかりません。
蝉の鳴き声に包まれたお寺の境内の中の密林でぼんやりそんなことを思うのでありました。

2014年7月31日木曜日

9年と11ヶ月

本日でポイントウエザーというお店をはじめて9年と11ヶ月になるのです。
正直去年で10年だと勘違いしていました。さらに29、30、31どの日からはじめたか正直覚えておりません。忘れてしまいました。なので31、という事に勝手に思い込むことにしました。なにしろ区切りがいいのです。

先日は冷蔵庫がいきなり壊れて、緊急避難したもう一つの冷蔵庫が翌日壊れました。新品で買ったレジはアンティークですかと聞かれることが多くなりました。
連鎖する老朽化に苛まされる今日この頃ですが、ようやく開店する際に定めた一つの目標がおぼろげながら見えてきたような気がします。
先の事はまだわかりませんが、気を抜かず31日、744時間、集中してがんばります!
スタッフ一同気を引き締めて頑張ります。
改めてどうぞよろしくお願いします。

2014年7月30日水曜日

撮り旅!

お金を出して、時間をかけて、あえて不便な思いをする。理不尽で、それでいてとんでもなく魅力的な旅という世界
そして旅の中、地を這う目線で、広大な世界の中で出会う瞬間を記録するだけでなく作品にしていく人々。
そんなカメラと旅に魅入られた個性的で魅力あふれる撮旅人と作品をぎゅっと紹介した本、撮り旅!が絶賛販売中です!

昨晩は代官山TSUTAYAさんでそんな撮り旅のトークショー。
楽しく、そしてとんでもなく刺激的でした。
三井さんはバイクを現地で調達し自由を、中田さんはローカル列車でふれあいを。そして進行役の山本さんはポイでも写真を飾って頂いたことのあるラダックを語ってくれていました。
いやー、十人十旅。

そして自分もちょろっとアイスランドの写真を載せていただきました。
ポイ書庫にも置かせてもらいますが一家に一冊。
もう本当是非!


最後に嬉しすぎるお土産も。
大ファンの地球の歩き方Booksさんからの出版ということもあって35周年記念のtravel note!!
本当におめでたい!
地球の歩きカフェを勝手にコンセプトに盛り込んでいる自分としてはこれは、言わば聖典。白紙ですけど‥。
 
 
 
 

2014年7月26日土曜日

12プランツ

年に一度、二度。
ただただ圧倒的な鋼の塊をぼんやり眺めてみたくなります。
今年は7月、じっとりとした夏でした。
 
威圧的な曇り、灰色の夜の下、変わらぬ無骨な姿で世の中が必要としている何かを黙々と生産し続ける、その従属的な巨人の群れ。
工場萌えといった浮かれた気持ちは段々としぼんでいき、昂揚感の後に訪れる哀愁に似た気持ちがなぜか到来したりします。

ややもすると本質よりも装飾が大切に思われる世の中で。

エンジニアの皆さんが何かの拍子でいなくなり、自分だけが世の中に残された時のことを想う。

 生産と消費。
現在社会の生と死を司る工業地帯をたまに訪れたくなるのです。

嗚呼、それにしても。。いい。。
 
 使わなくなった時に住居として賃貸契約を結べない物だろうか。
最上階から流れる滝を想う。鹿や羊や亀が集い寄り添いあう未来を想う。

もういっそあぶられたい。

 箱型プラント!スケルトンボディにごっくんっす。

 わびさびすら感じるぜ。。

エコとエゴの交差点に立つ。